【地元ラジオ⑥】茨城放送で2番組を担当 音楽家 マシコタツロウさん
「方言を使うと、構えずに話せる。すてきなツール」とマシコさん(つくばスタジオで)

 茨城放送で10月からスタートした「今夜はラッキーナイト~マシコ・フライデー~」は、24年ぶりに復活したという同局制作の深夜番組。パーソナリティーを務めるのは、常陸太田市出身で、「ハナミズキ」などを作った作曲家・ミュージシャンのマシコタツロウさん(42)。

 深夜番組の久しぶりの復活は、マシコさんの人気があってこそで、パーソナリティーとしてのマシコさんの代名詞といえるのは茨城弁。新番組も、聞いて笑って、あっという間の2時間だ。

 

 人気のコーナーは、「あなたの歌声聞かせてください マシフラ アカペラのど自慢」。希望するリスナーに直接電話し、受話器越しに気持ちよく歌ってもらうというもの。歌った後は、音楽家のマシコさんが感想を述べる。

 11月13日の放送では、レモンサワーを飲みながら電話を待っていたという50代の女性がまず登場。初孫が生まれたことを話すと、マシコさんは、「あれ、おめでとう。おとこっこ? おんなっこ?」。女性は初孫誕生の喜びを込めた替え歌を茨城なまりで熱唱。マシコさんは、「これは、超大作。夜のごじゃっぺな番組で、よくここまでやってくれたな。ありがとう」と拍手。

 続いては、家には家族がいるので、車の中にいるという男性。見事な歌声に、「いやあ、いい声だ。俺びっくりしちゃった」とマシコさんが言うと、「嫁さんをおとした歌だから」。「いやどーも!」と2人で大笑い。

 

 マシコさんが同局で、本格的にパーソナリティーを務め始めたのは、2013年。今は、水曜午後の音楽ワイド番組も担当している。当初は、しゃべりが達者な本県出身のヒットメーカーという立ち位置。しばらくは標準語で話していたが、番組をもっと面白くしたいと、茨城弁を話すことを提案した。

 誕生したのが、今も音楽ワイド番組で続く「青なじみ」というコーナー。「やるなら、思いっきり振り切ろうと決めました」とマシコさん。茨城県民の歌をBGMに、リスナーから寄せられた日々の出来事を全開の茨城弁で読み上げ、全開の茨城弁でコメントする。

 コーナーを発展させた特別番組は、16年日本民間放送連盟賞の優秀賞を受賞。「方言を魅力的なコンテンツとして見いだした。圧倒的なパワーがあり、聞き心地がよい」と評価された。

 

 茨城弁で話すことは、パーソナリティーとしての自信にもつながったという。

 マシコさん自身をどんどん乗せていき、子ども時代、友だちと遊んでいた時のように、楽しいアイデアを次々と浮かびあがらせた。当時の夢も思い出させた。作曲家と同じようにラジオのディスクジョッキーにも憧れていた。「あの頃はかっこつけて、FMの番組っぽく話してテープに録音していた。茨城弁を話す今とはだいぶ雰囲気が違うけれど、夢がかないましたね」

 茨城弁が、ミュージシャンとしての幅も広げてくれたと感じている。ミュージシャンとしての活動の時は、「方言は使わず、かっこよく」と決めていた。だが、数年前、茨城弁で曲紹介をした後にしっとりとしたバラードを歌うと、「ギャップがあって、曲がより心にしみた」と大好評。以来、“解禁”した。

 方言を話すことは、ふるさとの良さを伝えることにもつながるという信念も持ち始めた。「茨城弁をポップにしたい。それが僕の役割だと思っています」

 

 ◼︎茨城放送◼︎
 周波数は、AM水戸局1197kHz、土浦・県西中継局1458kHz、FM水戸局94.6MHz、守谷・日立局88.1MHz。本社は水戸市千波町。開局は1963年。
 マシコさんが担当する「今夜はラッキーナイト~マシコ・フライデー~」は、金曜午後10時~午前0時、東京・麹町にある同局のスタジオからの生放送。
 音楽ワイド番組「ミュージックステート」は、平日午後1~4時放送。マシコさんは水曜を担当している。

〈シリーズ終わり〉

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