【地元ラジオ④】FMだいご 勤務6年の石井ともえさん
「赤とんぼは大子弁で『なんばんけけずめ』。大子弁は面白いです」と石井さん

 「生放送の番組中、何をした時なのか覚えていないのですが、『どっこいしょ』と、思わず声が出てしまったことがあります」と笑うのは、大子町のコミュニティーFM放送局「FMだいご」のパーソナリティーの1人、石井ともえさん。同局の自然体すぎる人気パーソナリティーだ。

 

 “誕生”は、友人や家族のすすめからだった。2013年に開局した同局は、町民パーソナリティーを募集。それを知った友人らが、「絶対に向いているから、やってみて」と、声をかけた。石井さんは、自分がラジオで話すことなんて考えたこともなかったが、「そんなに言ってくれるなら」と面接を受けた。

 研修で講師に、「大勢に伝えようとするのではなく、大切な人を心に思い浮かべて、その人に語りかけるように話してみて」と指導され、浮かんだのは、同じ町内の実家で暮らす、「父ちゃんや母ちゃん、じいちゃん、ばあちゃん」だった。

 ほどなく、夕方の番組「おばんです! だいご」のパーソナリティーを任された。町の話題やリスナーからのメールなどを紹介しながらの2時間の生放送。当初は、緊張してあたふたの連続。「落ち着いて話すなんて到底無理。はちゃめちゃでした」と苦笑い。

 それでも、徐々に個性を発揮。現在は休止しているが、番組「大子弁講座」では、大子なまりを生かして講師を担当。20代の頃、朝3時起きで出勤前に釣りをしていたという趣味を生かして、釣り番組も担当している。10月から始まったラジオドラマ形式の番組「ななごんと学ぼう! クールチョイス」では、得意のものまねを生かして、声色を変えて2役をこなす。

 

 大子は高齢化率県内一の町。いつも気にかけるのは、メールもリクエストも送れないけれど、聞いてくれている高齢者たちの“声”。「父ちゃん、母ちゃんだったら、どんな曲を聴きたいかな?と想像して、演歌の特集をすることも」

 昨秋の台風による水害で、局舎が水没、一時放送ができなくなった。緊急時に情報を伝えられなかったもどかしさから、町民に役立つ放送をとの思いを、これまで以上に強くした。

 パーソナリティーになってよかったことは、大好きな町の魅力を自分の声で伝えられること。「観光地やグルメもいいけれど、やっぱり魅力は人。ゲストをたくさん呼んで、人柄も伝わる放送ができたらいいな」

 

 ◼︎FMだいご◼︎
 周波数は77.5メガヘルツ。開局は2013年。昨秋の台風で局舎が水没し、今年6月から高台にある仮設局舎に移った。水害の影響でいまだ休止している番組も多い。
 生放送番組は、午前11時~午後1時の「おひるです! だいご」と、朝と夕方の町行政情報インフォメーション。
 石井さんは、お昼の番組は不定期に月3~4回担当。
 放送はインターネットのサイマルラジオでも聴くことができる。

 

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう