穴窯の前に座る酒井さん
穴窯の前で酒井さん。器は、塩釉(ゆう)の技法による皿


 笠間市下市毛の陶芸家酒井敦志之(としゆき)さん(44)は、2011年3月11日の午後、自宅の穴窯の前にいた。地震の揺れで、長さ約10㍍の窯がうねるように動いた。窯の中の温度は約1000度。「崩れないでくれと、祈るような気持ちでした」

 窯は崩れなかったが損傷が激しく、一から作り直すことに。積み上げてあった約3000個のレンガを一つ一つはずし、接着部分のモルタルをすべてはがさなければならなかった。1人では手に負えず、思い切ってSNSでボランティアを呼びかけると、作家仲間など6、7人がかけつけてくれた。モルタルをはがした後は、約2か月かけて1人で組み上げた。展示会が控えていたこともあるが、「協力してくれた仲間の恩に報いたくて」。寝る間も惜しんで再建した。

 コロナ禍で、昨年から陶器イベントの中止が続くが、「気に入った器で自宅時間を豊かにしたい」などの声に励まされている。期待に応えようと、再建した穴窯で作陶に励む。

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