【前向きに 新しい生活様式⑤】地域一体で未来をつくる 玉造公民館を管理する女性スタッフ6人 〈行方〉 
玉造公民館を運営する女性スタッフと、同市シルバー人材センターの石田正雄理事長

 行方市の玉造公民館ロビーにはいま、同館の女性スタッフたちが制作したハロウィーンの飾りが展示され、季節の移ろいを告げている。女性スタッフは地元在住の6人で、全員が同市シルバー人材センターから派遣されている。同公民館には、6人のほかに常勤する市職員などはおらず、地域の考えを重んじた先進的な運営で注目も集めている。

 ハロウィーンの飾りは、女性たちの独自の取り組み。コロナ禍を受けた新しい生活様式との直接の関係はないが、公民館と地域も、前向きな気持ちにさせているのは確か。

 

 6人のリーダー的存在の新堀文江さん(71)は、元同市職員で、同市初の女性課長として活躍した。今も茶色く染めている髪は、当時はさらに明るく、ミニスカートもトレードマークだった。「文字通り異色の存在だったのよ」と笑う。

 当時、新堀さんが尽力したのは女性の地位向上。その頃に開いた勉強会に参加したメンバーが、6人の半数を占める。

 6人は、5年ほど前から公民館を地域で運営することを市に要望してきたという。アイデアの発端は、かつての勉強会で生まれていた。当時からの仲間の飯田光子さん(78)は、絵手紙などの講師として、長年、公民館で指導をしてきた。飯田さんは、「みんなが忙しい時代になって、公民館を通した地域の交流まで失われつつあった。それを何とかしたかったの」と当時からの思いを話す。地域の柔軟な発想で、公民館に人を呼び込めると考えたという。

 

 地域で運営する希望が市に理解され、シルバー人材センターに登録することを通して実現したのが今春。同時期に始まったのがコロナ禍だ。公民館は開店休業状態だったが、6人は1日たりとも無駄にしなかった。

 すぐに始めたのは、マスク作り。公民館の事務所にミシンが並んだ。数百枚に及ぶ手作りマスクを市に寄贈するなどすると、地域から材料がどんどん集まった。

 掃除などの衛生管理も、「私たちの得意分野。トイレの便器はやすりがけまでしているの」と新堀さん。

 

 ハロウィーンの飾りの前は、地域の珍しい植物でロビーを飾った。それも6人の手作り展示だった。当時も今も、多くの利用者が立ち止まる。すると6人はすぐに話し掛け、おしゃべりが弾む。これもコロナ禍とは無関係のことだが、6人はコロナ禍の中でこそ、コミュニケーションが大切だとも考えている。

 「ソーシャルディスタンス(社会的距離)が必要といわれても、人は一人では生きられないもの。身近で暮らすみんなで、互いをきちんと理解しながら対策するしかない。そうすればいつかコロナをやっつけられるわよ」と新堀さん。

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