玩具花火であと一年我慢(茨城・大子)
おすすめの線香花火を手にする柴田さん。手に持っているのは、国産の線香花火

 大子町大子の柴田修さん(66)は、「今年こそ」という気持ちでこの夏を迎えたが、願いはかなわなかった。心にあったのは、新型コロナウイルスの影響で3年連続の中止が決まった夏のイベント「大子町花火大会と灯籠流し」の開催だった。

 柴田さんは、同イベントの打ち上げ花火の仕掛け人。打ち上げる花火の選定や順番の決定、何発もの花火を同時に打ち上げる大会の華、スターマインのデザイン(プログラミング)も担当。火薬を扱うための各種の資格を持っていて、打ち上げ作業にも参加する。

 同イベントの歴史は約90年。柴田さんは、父親から2代にわたって担当している。「あれがないと夏が来た気持ちになれないんだ」

 長年、玩具店「柴田商店」を営み、家庭で楽しめる「玩具花火」が品ぞろえの中心だったが、2019年の台風の被害を受けて閉店した。

 それでも、「少しだけ」といいながら、玩具花火の在庫を持っているのは、柴田さんを“花火の師”と仰ぐ、玩具花火ファンの注文が入るからだ。

 柴田さんは、うれしそうに解説を始めた。「玩具花火も年々進化している。パステルカラーの光なんて、10年前にはありえなかったよ」

 すすめるのは国産の花火。「ちょっと高いけど。作りが丁寧なんだ」

 1本100円ほどする国産の線香花火を手に、「これは1本1本手作り。ぎゅっと固くしぼってあるのがいい」。点火後は、松葉と呼ばれる細い特徴的な光が長くのび、楽しめる時間も輸入物とは大違いという。

 「これらを眺めて、もう一年の我慢だね」と笑った。

 柴田商店☎︎0295・72・0178。

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