市場の朝は別世界の活気 朝6時開店 場内食堂うんの(茨城・水戸)
「鳥ニンニク定食」

 朝6時すぎ。水戸市青柳町の食堂「場内食堂うんの」の席を埋める客たちの食べっぷりは、朝食のイメージから、かけ離れている。店の場所は水戸市公設地方卸売市場内。客の多くは、市場のスタッフや、地域の飲食店や小売店の仕入れ担当者。早朝からの一仕事を終えた後にやってくる。額に汗を浮かべている人もいる。

 同店の海野大祐さん(33)は、「朝食というよりはランチ感覚で食べる人が多い。中には、午前中に仕事を終えて、ビールの栓を抜く人もいて、うらやましいねえ」と笑う。海野さんらの厨房(ちゅうぼう)陣と、接客担当の威勢の良さも、静かな朝のイメージとは、かけ離れている。

 同店は創業約50年。看板メニューは、「もつ煮込み定食」(850円)。壁に張られた手書きのメニューなどから伝わる昭和の雰囲気も特徴だ。

 

 「ふっちゃん。おはよう」と、女性店員の声に迎えられたのは、市場内の青果卸し会社に勤める藤岡輝成(てるあき)さん(31)。入社して約8年、ほぼ毎日、ここで朝食をとっている。出身は東京で、水戸市内の農業専門学校で学んだ後、同社に入社した。

 

ラーメンと、藤岡さん「今日は珍しくラーメンです」と藤岡さん

 

 1人暮らしの藤岡さんにとって同店は、「実家みたいなもの」という。大食漢という藤岡さんは、基本は大盛り。時折、普通盛りを頼むと、「具合が悪いの?」と心配されてしまう。

 同市大工町の「レストランマロン」のシェフ、大塚巌さん(48)は、四半世紀にわたり、仕入れの途中で立ち寄っている。

 

冷やしそばと、大塚さん大塚さんはトマトが乗った冷やしそば

 

 同業者でもある大塚さんから見た同店の一番の魅力は、「そりゃ、元気の良さだね」。

 レストランマロンは、3代続く歴史ある店。大塚さんが受け継いできた信念は、「お客さんは、店の人と、その人の心を求めて来てくれる」ということ。

 同店の元気には、コロナ禍の中で救われた思いがあるという。

 レストランマロンも、交流のある店の多くも、休業や時短営業を強いられたが、朝から昼のみの営業の同店は、通常通りに元気に営業することができた。

 「仕入れの必要がないのに来ちゃったこともあったよ」と笑う。

 

 藤岡さんと大塚さんがそろっておすすめというメニューは「鳥ニンニク定食」(950円)。ニンニクがたっぷり使われたボリューム満点の定食で、これも朝食のイメージから、かけ離れるが、店の元気に背中を押されてはしが進む。

場内食堂うんの
定食、丼、麺類など各種品ぞろえ。
午前6時~午後1時。日曜、祝日定休。水曜不定休。☎︎029・225・6615

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