ツバメと、“日本の父”のいつもの初夏 古い商店(茨城・行方市)
右上から時計回りに、 ①見つめ合うつがい②店頭③鳴き声を上げながら飛ぶツバメ④優しいまなざしでツバメを指さす兼平さん⑤小さな鳴き声をあげていたヒナ

茨城再見聞

 行方市麻生の兼平壽郎さん(84)宅の初夏は、例年通りにぎやかだ。兼平さんは、「夜明けと同時にシャッターを開けてあげないといけないんだ」と笑う。

 シャッターが開いたとたん、元気に飛び出すのはツバメ。その後は、ひっきりなしに出入りする。かつて瀬戸物店の売り場だったというスペースに10個以上の巣がある。

 ツバメが訪ねて来るようになったのは60年ほど前。瀬戸物売り場の天井は、太い角材が井げた状に組まれた格天井と呼ばれる作り。それが、ツバメの巣作りにはぴったりだった。「昔は、砥(と)の粉が塗ってあって、巣が落ちてしまうこともあったけど、砥の粉がはげ落ちた今は、こんな快適な場所ないんじゃないかな」

 兼平さんの目が、鋭くなったのは、店頭に大きなカラスが現れたとき。「ヒナをねらっているんだよ。私が元気なうちはそんなこと許さない」と兼平さん。

 

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