4つの本棚に思いが凝縮(神栖・神栖)
自由本棚で本を選ぶ地元の高校生。受験勉強の合間の息抜きの場所になっているという

 神栖市溝口の市中央公民館の奥の方、神之(ごうの)池を見渡す大窓の手前に「神之池ブックステーション 自由本棚」はある。

 本棚4つが、2列に配置。蔵書は2000冊弱で、ベストセラー作家の著書もずらり。本の状態の良さや、並べ方から、丁寧に管理されていることが分かる。

 自由本棚という名前の通り、だれもが自由に借りることができて、返却日も自分のペースでいい。誕生は今年6月。同館内にあった図書室が、学習スペースを拡充したフリースペースに生まれ変わることになったのがきっかけ。フリースペースは改修工事中で、工事が終われば、自由本棚もフリースペースの一角に収まる。

 以前の蔵書は8000冊以上で、縮小したのは確かだが、その分、運営者たちの思いがにじむ。運営するのは、同市大野原の市中央図書館。同館の司書、中平幸江さん(52)は、「本との出合いが、生活や人生まで豊かにすると知っているから、みんな頑張っちゃう」。

 利用傾向から厳選した本の中には、中平さんが小学生のころから繰り返し読んでいる児童書「モモ」も含まれる。「司書の愛読書としては一般的すぎるけど、好きなものは仕方ないし、多くの人に読んでもらいたい」

 絵本の棚の上に、子育て書の棚があるのは、子ども連れのママに届けたいから。本棚のわきの手書き黒板は、司書の1人がペンを取った自信作。窓の先の神之池がモチーフだ。


 読書の秋を迎えた。新シリーズでは、本をつなぐ場所や、人を訪ねる。

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