コウノトリが抱卵中 3年連続 市職員が優しくが見守る(茨城・行方市)
人工巣塔に立つコウノトリのつがい(行方市提供)

 行方市山田で、コウノトリのつがいが卵を温めている。同市でコウノトリの産卵が確認されたのは3年連続3回目。季節は決まって春で、同市の春の風物詩となりつつある。コウノトリは、国の特別天然記念物に指定されている。

 確認されている卵は4個。孵化(ふか)は、4月下旬と予想されている。かえったひなは、2か月ほどかけて独り立ちするという。

 営巣場所は、今年1月下旬に設置された塔「人工巣塔」の上。過去2回の営巣場所は、電波塔の上だった。人工巣塔は、電線への衝突などの危険回避のために建てられた。

 つがいの営巣が確認されたのは2月28日。人工巣塔は、完成後1か月もたたない間に、つがいの目にとまったこととなる。つがいを見守っている同市環境課の職員の1人は、営巣確認の一報を聞いたとき、「デスクで立ち上がって拍手してしまいました」と振り返る。

 人工巣塔は、兵庫県にあるコウノトリ研究施設、県立コウノトリの郷公園の指導を受けて建てた。形状、高さと立地についても、オンライン会議を重ねて検証、決定した。

 同課の職員は、営巣が確認されるまでは、週に2回ほど、営巣確認後は、ほぼ毎日、観察に出掛けている。

 つがいは、交互に卵を温めているという。つがいの卵を狙うかのようなカラスやトビが周囲に見かけられることもあるが、コウノトリはしっかりと卵を守る。

 巣は地上約12mの場所にある。双眼鏡を手にしたとしても卵の様子をじかに観察することはできないが、同課では、「卵を温めている形でも親鳥の頭は見える。卵がかえれば、ひなにエサを与える様子が見えるはず」と予想する。

 職員の1人は、「そうなったらまた、立ち上がって拍手してしまうと思う」と笑う。

 

 

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