ツバメシーズンの最中 元陶器店の兼平さん宅(茨城・行方市)
ツバメが巣を作る天井を指さす兼平さん。兼平さんの指の先にツバメの姿が見える

  行方市麻生の兼平壽郎さん(83)宅はいま、ツバメが主役。かつて陶器店を営んだ部屋の天井には、ツバメの巣が10個以上。日中は、通りに面した大窓から、巣のヒナに餌を運ぶ親鳥たちが、ひっきりなしに出入りする。

 兼平さんは毎朝4時に、目覚まし時計を3つ鳴らして起きる。親鳥がそわそわしている雰囲気が、兼平さんの寝室まで届くという。「店に向かい、シャッターを開けると一斉に外に飛び出す。ピーピーとお礼を言っていくのも忘れないね」と兼平さん。

 ツバメを迎えるようになったのは、陶器店として営業していた60年ほど前。朝4時に起きるツバメシーズンの暮らしは当時から変わらないが、昨年の秋以降は、初めてのこともあった。ツバメ5羽が、兼平さん宅で越冬したのだ。

 秋の彼岸のころのこと。最後のツバメを見送って安心していると、5日ほどで帰ってきて、居着いてしまったという。1980年代に「越冬ツバメ」というヒット曲があったように、ツバメが越冬することは珍しくないが、温暖な気候の宮崎県や鹿児島県で多く見られるもの。

 日本野鳥の会茨城県の会長、矢吹勉さんは、「県内でも越冬する例はある。理由は、気候、ツバメの種類、エサ事情など、いろいろと考えられるが、兼平さん宅の居心地が良いのは、大きな理由でしょう」と話した。

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