蒸気に包まれて寒仕込み みそ蔵「たつご味噌」(茨城・高萩市)
蒸し上がった大豆を冷やす作業員。中央奥が舟生社長

 高萩市上手綱のみそ蔵、たつご味噌で、寒仕込みが始まった。
 寒仕込みは、1月下旬から2月頃までに行うみその仕込み作業のこと。冷え込みが厳しいこの時期に仕込むと、発酵、熟成がゆっくりと進むことから、香りの良いみそが仕上がる。寒仕込みは、日本酒やしょうゆの醸造でも行われる。

 大豆を蒸し上げた大鍋が開けられると、作業場全体が、蒸気で覆われた。
 作業場には、同社社長の舟生繁治さん(55)を含めた3人がいた。3人は、鍋からかき出した大豆を大きなスコップで手際よくかき回した。扇風機の風も当てられた。
 人肌まで冷めた後、塩とこうじ加えて、混ぜ込み、たるに詰めるまでが一連の流れ。午前中に3度、繰り返した。
 今後、秋口まで、自然の気温の変化の中で熟成が進んだみそは、同みそ蔵の看板商品の「たつごの里」になる。

 作業場は、3階建ての鉄筋コンクリート造り。一見して歴史が伝わる。  
 昭和30年代に、長野県の老舗みそ蔵の蔵を真似て建てたという。3階は大豆を洗う場所、2階は仕込み作業をする場所、1階はたるを寝かす場所という役割分けがあった。
 機械化が進んだ今は、使い方が変わったというが、舟生さんは「この蔵がみそのおいしさを守ってくれている」と話す。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう