戦争体験者の思い伝える 「かりゆしの会」が絵本「きくさんの沖縄戦」を劇化(茨城・鹿嶋市)
出征の様子を表現した朗読劇の一場面

 終戦の日の15日、鹿嶋市のグループ「かりゆしの会」が、朗読劇「きくさんの沖縄戦」を同市宮中の中央公民館で上演した。内容は、16歳で沖縄戦に動員された元白梅学徒隊の中山きくさんの体験談。同名の絵本に感銘を受けた同会のメンバーが、「平和への思いを語り継ごう」と、朗読劇にした。

 劇は、爆撃の効果音なども入れながら、メンバー5人で声を合わせて進行した。中山さんが通った沖縄県立第二高等女学校の校歌を、三線(さんしん)で生演奏する場面もあった。

 中山さんは、1月に94歳で亡くなった。上演には、中山さんへの追悼の気持ちも込めた。

 数年前、かりゆしの会代表の鳥羽千津子さん(69)が、中山さん本人から同絵本を贈られたことが、朗読劇の制作と、上演会開催のきっかけ。

 鳥羽さんは、以前から戦争の歴史を語り継ぐ会に所属し、三線を演奏する息子の広樹さん(46)とともに、学徒隊の慰霊碑の前で演奏するなど活動してきた。

 活動を通して、中山さんと出会い、文通などで親交を深めた。

 絵本「きくさんの沖縄戦」は、沖縄県退職教職員会女性部が「平和を語りつぐ会」の名称で、2013年に発行したもの。中山さんへの聞き取りなどをもとに、のどかな田舎町に育った少女が、従軍看護婦として沖縄戦に巻き込まれていく様子を描いた。

 市内の松原弘さん(48)は、「劇に引き込まれた。戦争を知らない世代の人たちにも伝えていってほしい」と話した。鳥羽さんは、「きくさんの思いを、1人でも多くの人に届けたい」と話していた。

 

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