【梅雨点景】 学びやでオオムラサキ羽化 緒川小(茨城・常陸大宮市)
 羽化したオオムラサキを見つめる児童たち

 6月17日の朝、常陸大宮市立緒川小学校(児童数86人)は、校内で飼育していたオオムラサキが羽化したという話題でもちきりだった。

 サナギだったオオムラサキは、鉢植えのエノキの木の葉についた状態で、同校の廊下で生育していた。

 児童らは2週間ほど前から、それぞれにオオムラサキの羽化日を予想していた。予想が的中したのは5人。後日、学校から賞状が送られるという。

 17日は月曜日だったので、学校が休みの週末の間に羽化してしまうのではというハラハラもあった。

 「登校して、真っ先にオオムラサキを見に来たの。サナギから抜け出して羽を広げた姿を見つけたときはうれしかったなあ」とは、瀬賀香晴さん(3年)。この日は、2時間目の授業中にも2匹目が羽化した。

 

オオムラサキの写真

羽化したオオムラサキ

 

 同校は、オオムラサキの観察を始めて2年目。昨年も今年も、冬に校内で採取した幼虫を、鉢植えのエノキの根元に置いて観察を始めた。今年は3年生7人が中心になって写真を撮影したり、観察日誌をまとめたりしてきた。

 旗振り役は、斎藤慶一郎校長(59)。斎藤校長は、赴任先の多くの学校で、児童らとオオムラサキの観察に取り組んできた。原点は、小学校の夏休みの自由研究を通して出合ったオオムラサキの美しさに感動したことだった。

 同校は、「最後のオオムラサキ観察になるかも」という思いで赴任した。役職定年前の最後の赴任地だったから。

 緒川小が自然豊かな場所にあることは知っていたが、赴任して初めて、「校庭でオオムラサキが見られることを知った。こんな学校は初めて。最後にすばらしい場所に来られてとてもうれしかった」

 羽化したオオムラサキは、幼虫を採取した校内のエノキの木の近くで空に返した。

 その担当も3年生たちだった。1人の手に乗ったオオムラサキは、すぐに飛び立つかと思ったが離れようとしない。皆で、「頑張れ」と声をかけても同じ。それが何かの拍子で飛び立つと、大空へとぐんぐんと舞い上がった。

 「またどこかであえたらうれしいな」と、佐藤幸奈さん(3年)。

 

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