“かすいち”で大にぎわい 霞ケ浦湖畔の観光物産館こいこい(茨城・行方市)
こいこいのテラスで自転車を前にする中根さん。手には行方バーガー


 行方市玉造甲の市観光物産館こいこいは近年、天候に恵まれた週末ともなれば、それが通常営業日であっても、イベント開催日と見間違うほどのにぎわいとなる。

 目立つのは、カラフルで、体にフィットした服を着た人たち。首都圏ナンバーの車で来る人や、年配者も多い。「皆さん元気で、声が大きいのも共通点」と笑うのは、同店の店長、中根延枝さん(46)だ。

 近年、「かすいち」という言葉が知られるようになった。意味は、「自転車で霞ケ浦を一周すること」。それを楽しむ人が増えていることが、背景にある。同店ににぎわいを足しているのは、かすいち目当ての自転車ファンだ。

 

 霞ケ浦は、北浦を除いた霞ケ浦(西浦)だけを一周して約130km。魅力は、ぐるりとコースが整備されていること、アップダウンがないこと、途中の橋を渡ってショートカットも可能であること、湖畔の各地に観光スポットがあることなど。同店は、発着地点としても、休憩地点としても使われている。

 

 桜川市と土浦市などを結んでいたサイクリングコース「つくばりんりんロード」が霞ケ浦まで延長されて、「つくば霞ケ浦りんりんロード」になったのが始まり。2016年のことだ。中根さんら同店のスタッフは、その後の盛り上がりを予測して、霞ケ浦の周回コースを体験した。「私が走ったのはほんの一部だけど、楽しかった」と中根さん。

 

 同店としては、にぎわいを、売上アップにつなげたいところではあるが、願いはそれだけではない。

 同店の看板品に、霞ケ浦で水揚げされる魚などを原料にしたハンバーガー「行方バーガー」がある。コイを使った「鯉(コイ)パックン」(640円)など4種をそろえる。店内のポスターでも、店頭ののぼりでもPRする。

 一方、湖岸のコース沿道には、「ライバル」もある。“向こう岸”の美浦村には、ウナギを使った「うな重バーガー」、行方市の定食屋の超大盛「カツカレー」もそうだ。

 ライバルは、売上を分ける存在ではあるが、中根さんは、ライバルがもっと増えてくれればいいと話す。「やっぱり、地域全体で盛り上がりたいから」

 

 中根さんは、地元・旧玉造町の生まれだ。同店と周辺の施設に勤めてからは、20年以上になる。思い出を振り返るたびに、時代が変わったことを痛感する。

 幼少期は、店舗わきの霞ケ浦大橋すらなかった。当時、県外や、東京からも人がやってくるなんて想像できなかった。

 長年の間のさまざまな変化を経たいま、自転車が、たくさんの人と、笑顔を運んでくれている。

 「この土地にある魅力を、ちゃんと理解して、しっかりと伝えるという自分たちの責任を、毎日、かみしめている」と中根さん。

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