秋の味覚を代表するキノコ。笠間市福原のシイタケ農家「田村きのこ園」を訪ねると、今シーズンのシイタケの直売が始まったところだった。
作ってくれたのは、ステーキ。とれたての肉厚シイタケを手に、「うちのシイタケを味わうなら、この食べ方が一番」と、同園2代目の川島拓さん(30)。
取材用にホットプレートを使ったが、家庭ではフライパンでいい。オリーブ油少々をひいた上に、軸をとったシイタケを、かさを下にしてのせる。その横に並べたのは、軸を手でさいたもの。「軸にもうまみがたっぷりある」と、川島さん。
ふたをして、弱火から中火でじっくり焼くこと約10分。ひだの間から薄い黄色の水が出てきた。「シイタケから出たうまみ。ひっくり返さないで、このうまみを全部味わいます」
バターをのせて、しょうゆを少々。一口食べると、弾力のある食感で、鼻にさわやかな香りが抜けた。食卓の名脇役と思っていたシイタケだが、主役級の存在感だ。
同園のシイタケは、先代の故・田村仁久郎(じんくろう)さんが、味と大きさを追求して長年かけて栽培方法を確立したもの。「福王しいたけ」のブランド名で販売している。
川島さんが、田村さんのシイタケを初めて食べた時も、ステーキにした。調味料は塩のみ。「おいしさに驚いた。この味を残したいと思いました」
シイタケのステーキ
〈材料〉 生シイタケ、オリーブ油(サラダ油でもいい)、バター、しょうゆ、塩など好みの調味料
〈作り方〉
①シイタケは、汚れがあったら濡らしたキッチンペーパーなどでふき取り、軸を切り落とす。軸は手でさいておく
②フライパンにオリーブ油を引き、弱火にかける
③シイタケはかさを下にしてフライパンに入れる。さいた軸も入れる。ふたをして、10分程度じっくりと焼く
④全体がしっとりとしたら、食べ頃。好みの調味料で味付けをしていただく
フライパンで焼くと、「ふんわりと焼けて、じゅわっとしたうまみが楽しめる」と、川島さん。グリルやトースターで焼いてもいい。グリルで焼くと、シイタケの身が引き締まるなど、焼き方によっても味わいの違いが楽しめるという。
ほかのおすすめの食べ方は、すきやきとしゃぶしゃぶ。すきやきには、厚切りにして入れると、「お肉の量を少なくできます」。しゃぶしゃぶの場合は薄切りにするといい。
田村きのこ園はどんなところ?
田村きのこ園は、先代の田村仁久郎さんが開いた園。川島さんは、地域おこし協力隊として笠間市に来て、田村さんのシイタケに出合った。弟子入りして、2022年に栽培事業を継承した。
亡くなった田村さんの名前を付けた「仁久郎」は、初めて販売する高級シイタケ。福王しいたけの中でも厳選したもの。初回の予約分は売り切れた。次回は10月下旬に予約開始を予定。
福王シイタケは、同園の作業場兼直売所(同市福原1605)で販売。営業時間は午前9時~午後5時。電話0296・71・7161。