99歳 “画業”の最盛期 3月に笠間「トモア」で作品展開催(茨城・笠間市)
展示する作品と、丹さん。水彩画は、国内外の風景写真をもとに描いている

 来月で99歳になる笠間市美原の丹順道(よりみち)さんの白寿記念の作品展が3月3日から、同市友部駅前の地域交流センターともべ「トモア」の展示スペースで開かれる。

 展示は、90歳代から描き始めた水彩画約20点と、80歳代で手がけた模型作品2点。「この歳になって絵のこつがつかめた気がしている。うまく描こうとしてはだめ。なるべく無意識で描きました」と、丹さん。

 絵を描くことは、小学生の頃から好きだった。当時、アメリカの漫画のキャラクター「ポパイ」が人気。ポパイを描いてほしいという級友のノートが、机に積み重なった。音楽の時間に、一番後ろの席に座って描いた。

 17歳で海軍に志願した。その後、絵が好きだったことは忘れていた。戦争から戻ってからは、国鉄に勤め、趣味として、23歳の頃から書道を始めた。熱中し、退職後は書道塾を開いた。

 70歳代では、スポーツのクロッケーを始めて、県大会で準優勝したこともある。80歳代では模型作りを楽しみ、全長約1㍍の戦艦大和は、市販の組み立てキットを使って、2年がかりで取り組んだ。

 迎えた90歳代。「絵が好きだったことを思い出してね」

 作品展は、昨年に続いて2回目。長男の文男さん(69)が、同センターの展示スペースに何か飾ってほしいと声をかけられ、父の作品展をと企画した。

 当初、順道さんは、「見せるために描いてきたわけじゃない」「恥ずかしい」と開催に大反対。文男さんはあきらめかけたが、絵を額に入れて見せたところ、「あれ? なかなかいいなぁ」と、気持ちを変えた。

 昨年の会場には、以前の勤め先の40歳も年下の同僚たちが会いに来てくれた。来場のお礼状に、手書きのはがきを返してくれた人もいた。

 作品展を終えると、人生で最大の創作意欲が湧いてきた。

 会期は3月30日まで。開場は午前9時半~午後9時(初日は午前11時から、最終日は午後3時まで)。11・25日は休館。入場無料。

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう