エールを込めた自転車出荷 4代続く神栖市の自転車店「サイクルショップ境川」(茨城・神栖市)
店内に並ぶ通学用の自転車をチェックする境川さん

  神栖市奥野谷の自転車店「サイクルショップ境川」はいま、1年で最も忙しい時期を迎えている。 次々に来店するのは、地域に暮らす新中学一年生と、新高校一年生だ。

 30年ほど前のピーク時には、2、3月で300台以上の自転車を販売した。いまも、100台以上を販売する。

 同店を切り盛りするのは、同店3代目で店主、境川茂さん(70)と、茂さんの3女で4代目の飯塚友紀さん。2人の忙しさに拍車をかけるのが、2人が大切にする“誇り”。それは、整備の行き届いた自転車を届けること。メーカーから届く自転車は、小売店での組み立てと整備作業を経て、初めて乗れるようになる。2人は細心の注意を払って作業にあたる。

 茂さんは、「安全で快適に乗れる自転車は、私たちから新一年生に送るお祝いの品」とほほえむ。

 丁寧なアフターケアも、誇りのうちだ。タイヤのパンクの出張修理は、ほぼ毎日。1日に複数回に及ぶことも多い。毎日使うものだから、いつも即日対応するという。

 同市は、坂道が少なく自転車の移動には都合が良い。また、鹿島コンビナート内の移動でも同店の自転車が使われることがあるという。

 自転車の流通形態が時代により変わっていく中で、「うちが細々ながらやってこれているのは地域性のおかげだよ」と茂さん。

 しかし、2人の誇りが、店を支えているのも確か。客のなかにも、2代目、3代目が珍しくない。また、学生時代、社会人時代、定年後と、ライフステージが変わるごとに、同店で新たな自転車を購入する人もいる。

 「仕事を通して、多くの人たちと良いおつきあいができる。ありがたいこと」と、茂さん。

 

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