高萩市下手綱の山中にある山城跡が、地域住民らのボランティアによる整備を通して、いにしえの姿に近づきつつある。山城跡は、松岡城跡。室町時代に周辺を治めていた大塚氏が建築。当時は竜子山城と呼ばれた。その後、関ヶ原の戦いを経て同地に領地変えになった戸沢政盛が改築、名を松岡城に改めた。
標高57㍍の竜子山山頂が見晴らし台になっている。かつては、現在の松岡小学校と周辺の城下町と、遠くは海岸まで見渡したという。見どころはほかに、二の丸跡、御殿跡、古井戸など。敵の侵入を防ぐために意図的に作られた絶壁と、敵を迎え撃つために平らに整備した郭(くるわ)も各所に残る。
整備が始まったのは、2018年。それまでは、竹ややぶに覆われて、山城跡であることイメージするのは困難だった。中心になっているのは、日立市が拠点の森林ボランティア「常陸きこりの会」。地域住民や、同市の観光ボランティア「ふるさと案内人」が支援している。作業は毎月、20人ほどが参加して行われている。
ハイキング感覚で見学することができる。見晴らし台を目的地にする周回コースは、ゆっくり歩いて1時間ほど。途中には、ロープを頼りに進む難所もある。
ふるさと案内人の鈴木八十廣(やそひろ)さん(75)は、「郭に注目してもらうと、かつて山城に出入りした人たちの生活がイメージできると思う」と話す。坪和久男さん(70)は、「今後、見晴らし台から海を見渡せるよう整備が進むと聞いている」と話した。
同市観光商工課に依頼すると、ふるさと案内人の案内付きで同城跡の見学ができる。
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