親子の思いがこもる大のぼり 6月まで揚げる
のぼりと、薫さん(写真左)と武美さん

 潮来市辻の畳製造業、小田倉薫さん(69)宅で、息子の武美さん(36)が長男の悠真(はるま)君(5)の初節句の際に特別注文した高さ15㍍の巨大なのぼりが、風に揺れている。

 のぼりには、魔よけの神とされる鍾馗(しょうき)が、迫力満点に描かれている。福島県の代々続く手描きこいのぼり職人が描いたものだ。

 のぼりを支える柱を立てるのにも大きな苦労を伴うため、毎年は揚げていないが、今年は次男、歩真(あゆま)ちゃんの初節句であることと、「鍾馗様に新型コロナウイルスを追い払ってもらおうという願いを込めて揚げた」と武美さん。6月上旬まで揚げておく予定だ。

 のぼりは、親子3代にわたる思いがこもったものでもある。柱は、薫さんが武美さんの初節句向けに山から切り出してきたもの。当時は、今より長く高さ18㍍あった。柱には、12㍍の吹き流し、10㍍の真鯉(まごい)、8㍍の緋鯉(ひごい)を泳がせていたという。

 武美さんにそれらの記憶はないというが、「物心ついてから話を聞いたり、写真を見たりして、親父たちが自分のことをど れほど思ってくれていたかを知った。自分の子どもにつないでいかなければと思った」とうなずく。

 こいのぼりでなく、のぼりになったのは、住宅事情の変化が影響している。畑が広がっていた周囲には、家が並び、「近所の家の上にこいのぼりを泳がすわけにはいかないでしょ」と2人。

 のぼりは防水加工を施していないため、雨天時と、その予報があるときは上げていない。

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