司会などで本県各地のイベントを盛り上げてきたお笑いコンビのオスペンギンにも、コロナ禍は直撃している。影響は、今年3月ごろに始まり、今も続く。
「一か月の収入が2000円だったことも」と、ぼけ担当の山中崇敬さん(39)が言うと、つっこみのでれすけさん(35)が「手数料を引かれて1700円だよ」と声を張った。
しかし、光明も見えてきているという。近々、インターネットの動画投稿サイト、ユーチューブから入る初めての報酬だ。1万円ほどではあるが、2人は「本当にありがたい」と声を重ねる。
オスペンギンは、お笑いの大手事務所、吉本興業の所属タレント。山中さんは神栖市出身で、でれすけさんは愛知県出身だ。
同事務所が2011年、全国各地のお笑い文化を育てようと都道府県ごとにお笑いタレントなどを派遣した際、本県にやってきた。「茨城県住みます芸人」とも呼ばれ、地元ラジオなども活躍場所だ。
2人は、2015年に独自のユーチューブチャンネルを開設していた。週に1回程度だったオリジナル動画の配信は、3、4回に増えている。インターネットを通したオンラインの取り組みへの注目度が高まった今春以降の変化だ。
2人の動画の熱心なファンの数を表す登録者数は、1000余り。春には400程度だった。地域に活動拠点を置くお笑いコンビとしては、かなり多い方だという。
茨城弁を、ミニコントをちりばめながら紹介する人気シリーズ「茨城弁会話」は、40回を超える。3月に茨城100Kウルトラマラソンin鹿行が中止になった際は、出場予定だった山中さんが一人で走る様子を配信した。でれすけさんも、大きなおなかをさらけだしたダイエット企画など、体を張った動画は多い。独特なのが「山中タイム」。お酒好きの山中さんが自宅で晩酌する様子を延々と放映するものだ。
仕事としての価値は、初報酬の金額から明白だが、「楽しくて仕方ない」と山中さん。
2人がお笑い芸人養成所で出会った20年ほど前。人気テレビ番組に影響された自分たちの企画を、延々と打ち明け合ったという。実現するためには、スターになることが大前提だったが、今、それができている感覚がある。
山中さんが、「コロナ禍は、たくさんの人を悲しませたつらい出来事だけど、あきらめずに頑張れば、得るものもあるのかも」と真剣に言うと、でれすけさんが「かっこいいねえ」と、からかった。
11月から、ぽつぽつと決まりだしたというイベントの司会などについて話す2人の表情も生き生きとしている。
「いつかまた、ぎゅうぎゅう詰めのお客さんたちに笑ってもらう日を思うと、わくわく」とでれすけさん。山中さんは、「シーンと静まり返っている様子を思うと恐怖だけどね」と笑った。
オスペンギンのユーチューブチャンネルのタイトルは「オスペンギンの茨城おもしろ研究所」。チャンネルは、こちら。