半世紀の歩みが仕上げた100円コロッケ 「惣菜アーミ」を営む斎藤さん夫婦
店の看板の前に並んだ斎藤さん夫婦

かしまなだにて

 神栖市波崎の総菜店「惣菜アーミ」を切り盛りするのは、中学校時代の同級生だという斎藤博さん(63)、和美さん夫婦。

 開店して3年。コンテナを改装した店の前のベンチは、100円玉を握りしめてやってくる子どもたちが占領してしまうこともあるというほど、地域に根ざして営業している。コロッケ、メンチ、チキンカツは、すべて1個100円。ちくわフライ1本50円。在庫がなければ、1つから揚げてくれる。

 博さんの定年退職を機に開店した。勤め先は、鹿島臨海工業地帯。サラリーマン時代は、いろんな業務を経験して、「それぞれに頑張ったつもり」。だが、忘れられなかったのは、10代の終わりに勤めた精肉店で覚えた料理の楽しさ。

 サラリーマンになってからも、「おいしい料理を探して、その味を再現することを繰り返した」。出張先では必ずモツ煮を食べた。何の気なしに食べたコロッケの味にほれこんで、何百個の試作品をつくって、友人らに配ったこともある。同じことは、メンチ、とんかつ、シューマイでもあった。

 いつからか、自分の店を持つことが夢になった。定年退職の半年前には店をつくり、和美さんを店主に仮オープンした。

 和美さんが、ずっと専業主婦だったのは、家庭を守ってほしいという博さんの要望から。博さんが、「中学時代は、俺よりはるかに優秀で、相手にしてくれなかった」という和美さんは、主婦業でも仕事でも完璧を目指した。「商売でやるなら、味がころころ変わるようでは嫌だった」と和美さん。開店までは博さんを、何度も試験したという。

 開店後は、いつでも“2人一緒”ということに戸惑い続けているという。

 「『仲が良いのね』なんて、みんなに言われてしまって困るよ。本当は、けんかばかりなのにねえ」と和美さんは笑った。

 弁当もある。日曜定休のほか不定休あり。同店☎︎0479・21・6577。

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