笑いそっちのけの100㌔ ウルトラマラソンに挑むお笑いコンビ・オスペンギンの山中さん(茨城・行方市)
水戸市の千波湖畔でトレーニングする山中さん(左)と、声援を送るでれすけさん

 お笑い事務所、吉本興業に所属し、「茨城県住みます芸人」として本県で活動するお笑いコンビ、オスペンギンの山中崇敬さん(41)の直近の大舞台は、3月12日午前5時スタートの「第5回茨城100kウルトラマラソンin鹿行」。行方市をはじめとした鹿行地区5市にまたがる北浦沿岸中心のコースを走る本県唯一のウルトラマラソンだ。走行距離は100㌔。

 5回目になる同大会だが、2回目が新型コロナウイルスの影響で中止になっているため開催実績は4回。山中さんは、すべてに出場しているが、一度も完走していない。一方、中止になった2回大会も、開催予定だった日時に予定していたコースで、“1人ウルトラマラソン”に取り組むなど、大会に寄せる思いは強い。その時も、完走はできなかった。

 1人ウルトラマラソンを含めた過去4回の走行距離は、1回目49㌔、2回目80㌔、3回目85㌔、4回目70㌔。3回目までは順調に距離を延ばして、自信を持って挑んだ昨年の4回目で、「『まさか!』の思いだった」と山中さん。今年は、「続けてマイナス成長だったらどうしよう」という不安も抱く。

 

 相方は愛知県出身の「でれすけ」さん。2人はお笑い芸人の養成所で出会った。当初は、東京を活動拠点にしたが、山中さんが神栖市出身だったこともあって、お笑いで地方を盛り上げようという茨城県住みます芸人の企画に賛同した。2人で本県にやってきて12年ほど。活動の場は、ローカルラジオやテレビ、地域イベントだ。

 茨城100kウルトラマラソンin鹿行への出場を決めたのは、「ふるさとを含む場所で開かれるこの大会の成長に関わり、できれば力になりたい」という思いから。大学時代にはアメリカンフットボールで部長を務めた体力自慢ではあったが、「走ることには自信がなかった」。

 

 ウルトラマラソンは、延々と続く孤独な戦いにも思えるが、山中さんにとっては違うという。毎年、山中さんの挑戦を知る多くの人が、コース各所で声援をくれる。でれすけさんの撮影で生配信するユーチューブでも多くの人たちが見守る。

 ちょっと戸惑うというのがリタイアしたとき。みんなが優しいからだという。「芸人ですから、笑ってほしかったりもするんですけど。ぼくもボケる余裕がない」

 

 完走を目指すトレーニングのジョギングの距離は、月間300㌔。仕事柄、練習時間が夜遅くになることもある。また、昨年結婚したばかりだが、ジョギングを優先してしまってわびることもある。

 「完走が、応援してくれるみんなへの恩返しだから」

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