大切にされる神様の水 息栖神社の手水舎の水
息栖神社の手水舎の水に手を伸ばす大塚さん

 神栖市息栖の息栖神社の神門の近くにある手水舎(ちょうずや)の水は、地元で“神様のお水”と呼ばれることがあるほど大切にされている。地下水をくみ上げたもので、飲用も可能。遠方からの水くみ者も多い。

 自宅の神棚にまつるためにくみに来る人もあり、特に正月の若水のために、ここの水を求める人は多い。「初詣で、ペットボトルを携える姿がよく見られる」とは、同神社氏子の大塚光男さん(72)。若水は1年の最初にくむ水のこと。神棚にまつったり、飲んだりする。

 同神社の一の鳥居近くのいわれのある2つの湧水「忍潮井(おしおい)」と同じ水脈の水であることが、大切にされる理由。忍潮井の吹き出し場所は、常陸利根川の岸辺の水底。今はそれぞれ、コンクリートに囲まれ、水が澄んだ日には水底にある瓶(かめ)状のものから吹き上がっているのが見える。

 

一の鳥居と忍潮井一の鳥居(中央)と忍潮井。一の鳥居の右側の鳥居の下に女瓶、左側の鳥居の下に男瓶がある

 

 境内を正面に見て左側が男瓶(おがめ)、右側が女瓶(めがめ)と呼ばれる。1000年以上絶えたことはなく、女瓶の水を男性が、男瓶の水を女性が飲むと2人は結ばれるというのが言い伝えだ。

 同神社は、鹿嶋市の鹿島神宮、千葉県の香取神宮ととも「東国三社」と呼ばれ、県外からの参拝者も多い。東京の旅行会社「四季の旅」では、3社を巡る東国三社バスツアーが人気。同社の田沢幸治さん(49)は、「手水舎の水が飲めるとは知らなかった。お客さんにも伝えないと」と喜んだ。

 手水舎の裏には、水くみ用の蛇口がある。

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