図書館人としての集大成(茨城・鹿嶋)
雀羅書房で、大好きだという車、シトロエンの本を広げる内野さん。雀羅書房は、内野さん宅の倉庫を改装したスペースにある

 鹿嶋市大船津の本の販売所「雀羅(じゃくら)書房」は、店主、内野安彦さん(66)の“図書館人”としての半生の集大成と言える場所。扱うのはすべて古本だが、古本店と言わないのは、一般的な古本店のように買い取りをしないから。「私の好きな本だけを扱う常設のフリーマーケットといった感じ」と内野さん。

 品ぞろえは約1200冊で、クルマ、プロレス、音楽、サブカル、出版、図書館関係が中心。雑誌も目立つ。内野さんが数十年前に買った本もあれば、今年、ネットオークションで買った本もある。

 内野さんは、同市出身で、中学時代からの読書家。22歳で同市役所に入庁。希望がかない40歳で同市図書館に配属された後、つくば市の図書館情報大学の大学院へ社会人入学。卒業すると長野県塩尻市から、「新設する図書館の指揮を執ってほしい」と声がかかった。家庭はまだ子育て期間中。50歳から55歳までと自分で期限を決めて長野県へ。鹿嶋市役所を退職してのことだった。

 館長を務めた図書館は、市民1人当たりの貸し出し数で県内一を保ったが、心掛けたのは、「貸し出し数を増やすのではなく、利用者の数を増やすこと」。貸し出し数を増やすなら、話題の本ばかりをそろえればいいが、市民サービスはそれではだめだという信念があった。「市民の多様性は限りのないもの。それぞれのニーズにしっかりと応えられる本をそろえれば、貸し出し数は、自然と増える」と信じた。

 5年間の仕事ぶりは図書館や出版の業界では有名で、関連著作を10冊以上発行し、講演を依頼されることも多い。

 「雀羅書房」の利用は要予約。申し込みはホームページから。同館ホームページは、こちら

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