樹上で渋を抜く「星霜柿 ほししもがき」 常陸太田市でまもなく収穫期 販売は10月下旬から(茨城・常陸太田市)
自宅の畑で、柿の生育状況を確認する山本さん

  常陸太田市のブランド柿「常陸柿匠(ひたちかきしょう) 星霜柿」の収穫が、同市内の生産農家の畑でまもなく始まる。大粒で種なしの渋柿「大核無(おおたねなし)」を、枝にならせたまま渋抜きする「樹上脱渋(じゅじょうだつじゅう)」という手法で栽培。こくのある甘みと、パリッとした食感が特徴だ。

 

 栽培しているのは、JA常陸・太田地区柿部会のメンバーで、同市内水府地区の数人。同地区はもともと渋柿の産地。干し柿用の渋柿の需要が徐々に減少し、甘柿への要望が増えていることから、2006年頃から樹上脱渋の手法を導入した。樹上脱渋柿のブランド化を進めようと、同部会、市、県が連携して12年、星霜柿を商標登録した。

 作業は、実が若い段階から始まる。樹上の若い実1つ1つに、固形アルコール入りのビニール袋をかける。アルコールは、渋柿の渋み成分のタンニンに働きかけて、渋みをなくす。ビニール袋は2日程度、かけたままにする必要があり、その間に雨が降り、袋の中に水が入ってしまうと、やり直しになってしまう。

 

星霜柿の横断面。星が霜をまとっているように見える

 

 袋掛けをするのは例年9月。同部会長の山本健次さん(73)は、天気予報や雨雲レーダーなどとにらめっこしながら袋をかける日を決める。手間がかかる栽培手法ため、収穫量の大きい産地では行っているところは少ない。

 樹上脱渋の栽培では、一般的な柿よりも1か月ほど長く、樹上で熟成を続けさせることができるため、「自然に熟した甘みが味わえるんです」と、山本さん。パリッとした食感もこの手法が生むものだという。

 名前の由来は、横に切った断面に浮かぶ星が、霜をまとっているように見えることから。

 「星霜柿は、小さな産地ならではの味。地域の宝として、これからもみんなで大切に育てていきたい」と、山本さん。

 今年の販売は、10月下旬からを予定。販売期間は2週間ほどで、売り切れ次第終了。販売場所は、同市下河合町の道の駅ひたちおおた、同市内JA直売所など。価格は1個600円~(店により変動あり)。問い合わせは、JA常陸太田地区柿部会事務局☎0294・70・3488。

 

 

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