有終の美のキャンプファイア  寿小の卒業生と保護者有志(茨城・水戸市)
火の精霊の装いでキャンプファイアの点火式の練習に励む卒業生

 水戸市立寿小学校(齋田由加理校長)の卒業生と保護者の多くには、3月17日の卒業式の翌日に、もう一つの大切な行事が控えている。行事の会場は、同校の校舎からも見渡す林にあるキャンプ場・森林(もり)の泉。夕方からのメインイベントは、キャンプファイアだ。

 企画したのは、卒業生らの保護者有志。背景には、卒業生たちが、小学校生活の半分ほどを、コロナ禍を受けた自粛ムードの中で過ごしたことがある。卒業生たちのケースでは、小学校生活の一番の楽しみと言える宿泊学習も、日帰りの行事に変更された。

 

 キャンプファイアといえば、宿泊学習でもメインイベントにもなるもの。発起人の小針理香さんは、「子どもたちの思い出づくりのために知恵を絞ってきたけれど、コロナは手ごわくて・・・。それが、卒業式間近になって、世の中の雰囲気が変わってきた」。森林の泉に関わる友人にキャンプファイアの案を話すと快諾。すぐさまPTA会長の大内智栄子さんら“ママ友”にメッセージアプリでメッセージを送ると、「いいね」「いいね」の連続だった。

 学校も、保護者向けの公式連絡網で情報を回すなど協力した。卒業生と保護者、学校関係者を含めた参加希望者は、200人弱に上ることになった。

 

 打ち合わせを重ねる中で分かったことに、卒業生の多くが同校の校歌を歌えないことがあった。児童が一堂に会する機会も、そこで校歌を歌う機会も、ほとんどなかったのが理由だ。みんなで校歌を歌うことが、キャンプファイアの大切なプログラムとして加えられた。

 

 3月上旬に、放課後の教室で行った点火式の練習では、火の精霊に扮(ふん)する卒業生たちが、保護者らが手作りした衣装をまとった。

 精霊の一人の中根晴渡(はると)君は、「キャンプファイアをするのは初めてだから、ちょっと緊張」と期待混じり。大内祐杏(ゆあん)さんは、「小学生としての最後の思い出になるから、しっかりと務めます」と頼もしい。

 周囲の設定は、日が落ちたキャンプ場で、卒業生と保護者らが輪になっていること。精霊たちは、たいまつを持ったイメージで、腕を掲げながら呼びかけを行った。

 「私はこの火に友情を誓います」「私はこの火にたえず努力することを誓います」「私はこの火に希望を持つことを誓います」

 見守った保護者たちは、笑顔を浮かべながらも、時折、胸を詰まらせた。精霊たちの声は、回を重ねるごとに大きく、力強くなった。

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