100歳の芸 観客を魅了 笠間市出身の現役浪曲曲師・玉川祐子さん(茨城・笠間市)
浪曲を披露した玉川さん(左)。表情豊かに語った

  笠間市出身で、現役最高齢の曲師として活躍する玉川祐子さん(101)の公演「落語と浪曲を楽しむ夕べ~祐子百歳、笠間に帰る~」が9月30日、同市の笠間稲荷神社稲光閣で開かれた。ふるさと公演は約80年ぶり。約150人の観客を前に、万感の演奏を披露した。当日は、玉川さんの101歳の誕生日の前日だった。

 曲師の役割は、浪曲の公演で、語り手の脇で三味線を弾くこと。

 公演では、コンビを組む浪曲師の港家小そめさん(54)と登場し、演目「水戸黄門漫遊記 尼崎の巻」を披露。小そめさんの語りに合わせ、「イヤァ」「ヨッ」と、張りのある声を響かせた。

 終盤には、浪曲の語りも披露。亡き夫、玉川桃太郎さんのおはこだった演目「越の海勇蔵の生い立ち」を語った。

 

 玉川さんの本名は、中村(旧姓・笹ノ間)りよ。同市の片庭地区で生まれ、14歳で同市中心部の旅館に子守奉公に出た。

 浪曲の道へ進んだきっかけは、近くのレコード店から流れてくる浪花節(現在の浪曲)の魅力にはまったこと。東京の親戚を頼って上京。18歳で初舞台を踏んだ。だが、「声がよくない」と言われ、曲師の道に変更した。

 結婚、出産、離婚を経験。53歳で浪曲師の玉川桃太郎さんと再婚して、夫婦でコンビを組んだ。小そめさんとコンビになったのは、桃太郎さんが他界してからだ。 

 公演後のトークショーで、玉川さんは、東京行きを反対する父に、「日本一になるから」と説得したことなどを話し、故郷での公演は「最高に幸せ」と、笑顔を見せた。

 来場した市内の飯村洋子さん(71)は、「小柄な体なのに、すごくパワフルで、とってもかわいらしい人。地域の先輩から、たくさん力をもらえました」と、喜んでいた。

 

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