タイの家庭料理「ガパオライス」を教えてくれたのは、神栖市の甚田スリーラットさん(63)。甚田さんは来日36年。市内に住むタイ人たちにとって頼れる姉さん的存在である一方、夫の勝彦さん(75)はもちろん、「私も胃袋をつかまれています」と話すのは、同市国際交流協会事務局員の鎌田彩友玲さん。料理上手としても知られている。
ガパオライスは、鶏肉と、さわやかな香りのハーブ「ガパオ」や野菜を、オイスターソースなどで炒めた料理。ご飯にのせて、目玉焼きものせて目玉焼きをくずしながら食べる。
ガパオは、日本では手に入りにくいため、甚田さんは庭で栽培している。日本ではスイートバジルで代用することもあるが、「香りが全然違うのよ」と、甚田さん。鶏肉はひき肉を使う場合が多いが、一口大に切ったむね肉を使うのが甚田さん流。しょうゆの代わりにタイの調味料ソイビーンソースを使うと、よりタイ風になる。
ガパオライスの作り方を覚えたのは、実は来日してからだ。
大学を卒業し、タイの日系企業に就職したころは、「結婚には興味がなく、仕事を頑張るつもりでした」。料理などの家事にも関心が持てなかった。
タイに出張に来た勝彦さんと結婚して日本に来たのも、全く予想もしていなかった人生の大転換だった。
妻となり、せめて料理だけでもできるようにと、電車で東京の料理学校に1年間通って和食を学んだ。家では、亡き義母のユキさんと一緒に台所に立ち、勝彦さんが好きな煮物や混ぜご飯などを教わる日々。
「料理ができなかった分、作れたときの喜びが大きかったのね」と笑う甚田さん。勝彦さんもユキさんも、どんな料理も「おいしい」と喜んで残さず食べてくれたことも大きな自信になった。
タイ料理を覚えたのは、さらに後。きっかけは、タイに里帰りしたときに入った店で、勝彦さんが、ガパオライスを「うまいなあ」と、もりもり食べたこと。帰りにタイ料理のレシピ本を購入し、より勝彦さんの口に合う味付けにしようと、繰り返し作って工夫した。
①目玉焼きを焼いておく
②ニンニクと唐辛子をビニール袋に入れて、すりこぎ棒などで軽くたたく
③フライパンに油と❷を入れて炒める
④香りが出たら、鶏肉を入れる。焼き色が付いたらパプリカを入れる
⑤★を入れ、具材が焦げないように水を少々加える
⑥ガパオを入れ、軽く炒めて火を止める。皿に盛ったご飯の上にのせ、目玉焼きものせる。