北茨城市の県天心記念五浦美術館で8月23日から開かれる「佐藤義文 回顧展」は、5年前に71歳で亡くなった市内の佐藤さんの家族と、絵の仲間たちが企画した絵画展。
「絵が大好きだったお父さん。一生懸命描いた生き様を、少しでも多くの人に見てもらえたら」と、妻の和子さん。
佐藤さんは同市生まれ。子どもの頃から絵が好きで、日立製作所に入社してからは、同社の絵画部に所属。美術の全国団体「新槐樹社(しんかいじゅしゃ)」や、市内の絵画団体「鵜潮(うしお)会」にも所属した。県展ほか入賞歴も多く、2009年には、第53回新槐樹社展で文部科学大臣賞を受賞した。
大好きだったモチーフは、家のある風景。山あいの地区で、石垣のある家の素朴な雰囲気にひかれたのがきっかけだった。家が、芽吹きの頃の緑に囲まれた構図を好んだ。
佐藤さんは、病に倒れてからも、病室でスケッチを描いた。「お酒も大好きでしたが、飲んだ夜も、筆を握る手がにぶってしまうと、毎日必ず筆を持っていた。『継続は力なり』の人でした」と、和子さん。
絵の仲間の1人、松崎道子さんは、「お顔の表情そのままに、温厚で、いつも誠実に絵と向き合っていました」と話す。
展示は130号までの約100点。40代以降に描いた作品を中心に、病室で描いたスケッチも展示する。
会期は8月27日まで。午前9時半~午後5時(最終日は同3時まで)。入場無料。