鹿嶋市宮津台の笹本精肉店は、地元企業の社宅を目の前にしたショッピングセンターの中にあるが、社宅は空室が目立ち、ショッピングセンターの店舗も、今は同店だけ。それでも、客足が絶えないのは、特に今の時期は、名物のモツの煮込み=写真=の力が大きい。
「モツ1つください」の声を受けて、初代店主の笹本誠也さん(84)の妻、正子さんが、大鍋からプラスチック容器によそって、手渡した。中には、自宅の鍋を差し出し、「これに5人分」などと注文する客もいるという。
災いが転じて生まれた人気商品だという。35年前、同店は火事に見舞われた。長期休業を余儀なくされると、正子さんは、「これを機会に焼き鳥の焼き方を勉強しよう」と決意。千葉県の精肉店に修業に出た。そこでモツ煮が大人気だったのがきっかけ。店の再開後、誠也さんが、長年温めていた自慢のレシピで商品化するとじわじわと人気が広まった。
2代目の渉さんが、仲間らと出店した県立カシマサッカースタジアムの露店で販売したことが、人気に拍車をかけた。今では、「スタジアムのモツ煮の味」を求めて、県外から同店を訪れる人も多いという。1杯500円。
同店☎︎0299・82・4697。日曜定休。