那珂市後台のそば店「五楽亭」のけんちん汁=写真=は、同店の冬の看板商品といえるほど、店主の佐々木典明さん(61)が気を配る品。本県北部の郷土食の「つけけんちんそば」のつけ汁として提供されるもので、煮物と見間違うほど具が多いのも特徴。
佐々木さんは、宮城県出身だが、「つけけんちんそばは、25年ほど前に茨城にやって来て食べてみて、すぐに好きになった」。10年前の同店開店当初からメニューに加えている。
10月下旬から翌年3月頃までの期間限定提供だ。提供を始める契機は、寒くなることよりも、「野菜の変化」と佐々木さん。
佐々木さんは例年、秋風が吹き始めるころから野菜の味見を重ねるという。ダイコン、ニンジン、ゴボウを重点的に、生で食べたり、味付けなしで煮て食べたり。「ダイコンの形をしていても、本当のダイコンの味がするのは寒くなってからなんだ」。そろそろというときは、妻の弘美さんも試食に加わり、結論を出す。
提供を始めた今も、野菜の変化は続いているという。常連客は、それを知っていて、まるでワインの味を品評するかのように意見する。「寒さが極まる2月頃に、また食べてみてよ」と佐々木さん。不定休。同店☎︎029・298・6618。