【寒さなんて何のその②】大人になっても風の子 大型バイクに乗る島崎さん(茨城)と仲間
1937年製のパーツで組み立てたという愛車。レースはこれを操る

寒さなんて何のその

 前日は、県内の広範囲で降雪を記録した1月3日の朝、水戸市の国道沿いのドライブインに、大きなバイクにまたがった男たちが集まってきた。目的は、仲間たちとの新春恒例の初乗り。集まったうちの一人が、茨城町で建築デザイン事務所を営む島崎ケイさん(53)だ。

島崎さんと仲間たち
ドライブインに集まった仲間たち

 

 男たちは、それぞれに顔を合わせると、「いや~寒いっすね」とこぼしつつも、笑顔が絶えない。島崎さんは、「共通点は、オートバイが好きというだけで、仕事も年齢もばらばら。1年に1回、この日だけしか会えない仲間もいる。だから楽しくて」と、やはり満面の笑みで言った。

 初乗りの行程は、常陸太田市と日立市などを経由して海岸沿いに出て、大洗町を目指すというもの。

常陸太田市を走る島崎さんら
常陸太田市を走る島崎さんら

 

 常陸太田市の山中で、男たちの顔を曇らせたのは、アイスバーン。慎重に通過すると、その後は、ゴールまで一直線。

 ゴール後は、悲鳴のような「寒すぎる。もう引退」という声も。島崎さんは、「去年も同じこと言ってるから」と笑った。

 

 島崎さんの愛車は、アメリカンバイクの代名詞のハーレー・ダビッドソンで、3台を所有。現在も所有する最初の一台は、高校を卒業してから勤めた会社を、26歳で退社したときに退職金で買った。「先のことは決まってなかったけれど、ハーレーにまたがれば不安も吹き飛んだ」と島崎さん。

 仲間と共に走るのは、初乗りぐらいで、ほとんどは単独行だという。冬でも出掛ける。

 島崎さんは、バイクに対して多くの人が抱く不良っぽい印象を残念に思っている。「欧米でバイクは大人のスポーツで、落ち着いたクリエーティブなもの」。本業の建築デザインのアイデアを、バイクに揺られながら思い付くことも多いという。

 最近は、1950年代の古いハーレー・ダビッドソンなどが競争する「ビンテージレース」にも参加し、運営にも携わる。6月には鉾田市の大竹海岸で同様のレースを初開催する予定だという。

 

 「童心に返るのも、大人ならではの楽しみでしょ」と島崎さん。転勤族の家庭で育った子ども時代。新しい街に移るたびに、自転車に乗ってどこまでも行った。「迷子になって警察のお世話になったこともあった」。バイクは、その頃の冒険心も呼び起こしてくれるという。

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