ガルパンの聖地の「関所」(茨城・大洗)
店内のメインの本棚。上の3段は、ファンが持ち込んだガルパンなどのアニメグッズの展示スペースになっている。おすすめ本を持つ江口さん

 大洗町磯浜町の老舗書店「江口又新堂(ゆうしんどう)」は、店に並ぶ本の約8割が、同町の商店街などを舞台に展開するアニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」の関連本。ガルパンは、戦車を用いた武道「戦車道」に青春をかける女子高生たちの物語。

 ガルパンファンには、アニメの舞台を訪ねる「聖地巡礼」が楽しみの一つ。同店はファンの間で、「関所」と呼ばれている。理由は、店長の江口文子さん(66)のおしゃべりの長さ。「一度店に入ったら、なかなか帰れないよ」と笑う江口さん。

 店の創業は幕末の1848年。以前は薬も売っていて、店内には明治時代の看板も残る。

 もともとアニメ好きだった江口さん。ガルパンのテレビ放送が始まったのは2012年。見慣れた街が登場することと、ストーリーの面白さにすぐに引き込まれた。

 聖地巡礼の中で店を訪れたファンに話しかけ、ガルパンへの思いを語ると、驚かれた。「このおばちゃん、なんでこんな詳しいの?」。また、町の歴史と自然を楽しむ会の代表を務めるなど、町のことにも詳しく、「アニメに登場したこの場所は、どこ?」などの質問には、近道を教えたり、一緒に歩いて案内したりした。

 当初はガルパン関連本は1冊もなかった。「仕入れたくても、取引のない地方の小さな書店は、相手にしてもらえなくてね」。しぶとく交渉し、1冊、2冊と増やした。「ネットで本を買う時代だけど、おしゃべりしながら買うのも楽しいよ」

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