メンマを持つ高安さんと鈴木さん
竹林を背にメンマを持つ高安さん(写真右)と鈴木さん(同左)

 常陸大宮市岩崎の道の駅常陸大宮かわプラザに並ぶ「久慈川たけのこメンマ」(100㌘、600円)は、今年は8月上旬に販売を開始して、すでに在庫の半分を売り切り、「10月上旬まで残るかなぁ」(同駅駅長の鈴木理司さん・62歳)と心配されている品。発売は昨年で、今年と同時期に販売を始めて、2か月で売り切った。今年は、生産量を倍にしたが、うれしい誤算だった。

 

久慈川たけのこメンマやわらかく味わい深い「久慈川たけのこメンマ」

 

 原料のタケノコは、同店に近い久慈岡(くじおか)地区の河川敷の竹林から収穫している。同地区を含む同駅周辺の久慈川沿いは、江戸時代頃から、水害防止のために竹が植えられた。その竹は、平地に生えるため伐採が容易だったのと、質が良かったのとでさまざまに活用された。だが、時代の変化とともに人の足が遠のき、忘れられがちになっていた。

 

 開発者も、久慈岡地区の人たち。同地区の50歳代以上は、河川敷の竹に、特に食材としての思い出を持つという。区長の高安敏明さん(71)は、「タケノコは、収穫してから数週間で食べきらなきゃいけないから、母親があらゆる工夫をしていたのを覚えている」。

 煮物、みそ汁、タケノコご飯・・・。その頃は、メンマとは呼ばなかったけれど、「油で炒めたメンマ風の調理も確かにあった」と話す。

 

 久慈川たけのこメンマ作りが始まったきっかけは、2016年に同駅がオープンしたこと。県内外から地域への注目が高まり、「この辺りの特産品がほしい」との声が多く聞かれるようになった。「そりゃあ、悪い気はしないよ」と高安さん。主要メンバーの10人ほどが集まると、荒れた竹林のタケノコに気持ちが向かったという。

 いくつもの料理の試作を重ねた。最初の有望株は「竹スルメ」。鳥取県の特産品を真似ようというものだったが、「味がまとまらなかった」。「塩漬け」も合意に至らなかった。「1年間も漬けたけど、地域の顔になるものだから妥協はできなかった」。メンマは、あきらめたころに仕上がった。「油炒めだと考えれば、気負わずに仕上げられた」。レシピがまとまった後の調理は、土浦市の業者に依頼している。

 売れ行きの良さには、地区住民らも驚いている。国産メンマが珍しい上、産地と生産者まで特定できる安心感からだと推測するが、「味の良さもある」と、駅長の鈴木さん。高安さんもうなずき、「一度に食べるのはもったいないから、100㌘を、ちびちびと10日くらいに分けるよ」と笑った。

 

 来春は、生産量を増やすために久慈岡地区以外の竹林にもタケノコを取りに行く必要があるという。「ほかの地区の人たちも喜んでくれるはず。道の駅には本当に感謝」と高安さん。同駅☎︎0295・58・5038。

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