本県を代表する紅葉の名所の一つ、北茨城市華川町花園の花園渓谷は、11月中旬に見頃を迎える。下流部の水沼ダムの周辺から、花園もーる、花園神社、与四郎の滝などが見どころとなる。それぞれ清らかな流れを挟んで、カエデ、イヌブナ、ヤマモミジなどが染まる。
花園神社と花園もーるは、11月30日までの午後4時半~9時に、ライトアップで装飾される。闇夜に浮かび上がる朱色の仁王門と、赤い紅葉が共演するようにして、秋の夜を盛り上げる。
同神社を含む同市、高萩市、日立市の10社は、「神玉巡拝」という取り組みを行っていて、バスツアーも組まれるなど人気だ。
3市が背負う山々(多賀山地)には紅葉の名所が点在し、10社には、美しく紅葉する樹木を抱える神社もある。今回は、多賀山地の紅葉と、神玉巡拝に参加する10社を合わせて訪ねることを提案する。
+アルファで訪ねたい
神玉巡拝は、参加する神社を、神玉と呼ばれる直径約1・5㌢の木製の玉の授与を受けながら巡るもの。取り組みの発起人は、日立市大みか町の大甕(みか)神社の朝日正敬さん(42)。「願い事を持って巡拝すると、願いと、願う人の気持ちも磨きがかけられると言われる。また、巡拝を機に、地域の魅力を発見してもらえれば」と、始めた動機を話す。
ひもを通した神玉。オリジナルひもでブレスレットにする人もいるという
花園神社から南下する形で巡拝すると、次は、大津漁港に近い2社を巡ることになる。北茨城市大津町の佐波波地祇(さわわちぎ)神社と同市関南町の神岡稲荷神社だ。
神岡稲荷神社では、市文化財指定のイチョウが11月中旬に黄葉する。イチョウの推定樹齢は500年。古木の風情とも言える「乳」も見られる。
高萩市中戸川の紅葉の名所の花貫渓谷は、同市安良川の高萩八幡宮経由で訪ねたい。約9㌔の距離だ。
その後の日立市の6社は、国道6号を南下しながら訪ねることができる。同市水木町の泉神社は国道245号沿いだが、車なら6号からそれほど遠くない。
同市十王町友部東の艫(とも)神社から、同市宮田町の神峰神社へ向かう途中の小木津山自然公園(小木津町)も、11月中旬には、紅葉のアーチが楽しめる名所。同市大久保町の大久保鹿嶋神社には、駒つなぎのイチョウの木がある。推定樹齢約550年。801年頃、当時の征夷大将軍の坂上田村麻呂が同神社に立ち寄った際、このイチョウに馬をつないだという伝説がある。見頃は11月下旬。
最後の大甕神社には境内の各所にモミジが紅葉する。見頃は11月下旬だ。
「何度かに分けて巡拝していただければ、紅葉も楽しめる。ジョギングしながら巡っているという人もいましたよ」と朝日さん。神玉は初穂料500円。同神社☎︎0294・52・2047。