コロナ禍の影響がある今も、週に一度はステージに上がるという日立市のアマチュア弾き語りミュージシャン大塚浩さん(60)が、音楽活動を始めたきっかけは、震災だった。
まだ震災の傷跡が各地で見られた時期、北茨城市で1000人のアマチュアミュージシャンを集めようというライブが企画された。みんなの歌声で復興を祈願しようというものだった。
大塚さんは、20歳頃までバンドを組んでいたが、その後は時折ギターをつま弾く程度。それでも、「復興のために役立てる何かを探していたから」。
当日は、ブランクを痛感した裏で、「自分なんか」の歌を、喜んで聞いてくれる人の姿が、心の深くに刻まれた。
大塚さんのギターケースには、「音楽ノチカラ」という文字が入ったオリジナルステッカーが貼られている。「とっても前向きなチカラ。歌う度に存在することを実感する。1人でも多くの人に届けたい」