願い込めた“新巻きサケ” つるし飾り まちの保健室に展示中(茨城・水戸市)
色とりどりの手縫いのサケと、中山さん

 水戸市緑町の県看護協会「まちの保健室」に、“新巻きサケのつるし飾り”20匹が飾られている。作ったのは、同保健室担当の保健師中山友子さん。サケに込めた思いは、「被災地の安寧」だ。
 サケは、大きさ約70センチ。材料は古い着物をほどいた布や端切れなど。すべて手縫いで、サケのおなかの部分は手芸用の綿を入れて膨らませている。

 作ったきっかけは9年前、東日本大震災の災害復興支援員として、福島県川内村に2年間赴任したこと。当時は震災発生から4年後。中山さんの仕事は、避難先から自宅に戻った高齢者らの健康相談対応などで、1軒ずつ訪ねて話を聞いていた。
 訪問すると、針と糸を使って、人形やバッグなどを手作りしている女性が多かった。その中の一つが、新巻きサケのつるし飾り。お世話になった人へのお礼にプレゼントする風習があると聞いた。
 当時、中山さんは仮設住宅暮らし。夜などの空き時間に縫ってみようと、女性宅に通って教えてもらった。
 「不安で、不便な暮らしの日々。村の女性たちにとって、手仕事をする時間が、心和むひとときだったのかなと思います」と、中山さん。教わった女性や、出会った人たちを思いながら、茨城に戻ってから本格的に作り、これまでに40匹ほどを作った。半分はお世話になった人たちにプレゼントした。

 展示は月、水、木曜のみで、時間は午前9時半~午後4時。12月26日まで。希望者には、サケのつるし飾りの型紙を配布する。問い合わせは、同保健室☎029・221・6900。

 

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