水戸市出身の横綱、常陸山の生誕150年を記念した特別展「常陸山谷右衛門−『角聖』の生きた時代−」が、同市大町の市立博物館で開かれている。11月24日まで。
常陸山(1874~1922年)は、明治期に大相撲の黄金時代を築き、相撲(角力)界への貢献の大きさから「角聖」と称された。今展では、残された資料からその生涯をたどり、相撲界に果たした役割と、ふるさととの関わりを紹介している。
展示は、写真や番付表、常陸山直筆の書、書簡など約120点。
注目の一つは、現役を引退した1914年に書かれた常陸山の書「三拾六俵天地宏」。三拾六俵は相撲の土俵の意味。同書には、土俵の面積は限られているが、その中には広大な世界が広がっているという意味が込められている。
常陸山のライバルで、ともに黄金時代を築いた梅ヶ谷藤太郎の書と並べて展示している。
磯節名人の関根安中(あんちゅう)との出会いを紹介する展示もある。安中は全盲で、大洗であんま業を営む傍ら、民謡の磯節の修業をした。常陸山は、安中のあんまの施術を受けながら、磯節を聞いた。それを気に入ると、各地の巡業に連れ出し、磯節が全国に広まるきっかけになった。
担当学芸員の藤井達也さん(35)は、「常陸山の功績だけでなく、人となりにもふれてもらえたら」と、話している。
11月16、24日は、藤井さんが見どころを紹介するギャラリートークを開催。時間は午前11時と午後2時の2回。申し込み不要。入場料一般200円。月曜休館。同館☎029・226・6521。