インド出身で、ひたちなか市に住むスリーラさん(35)が教えてくれたのは、「ビリヤニ」という手の込んだおもてなし料理。ご飯とカレーを何層にも重ねて炊き上げるもので、一説には世界3大炊き込みご飯の一つとも言われている。
作り方は地域によっても違うといい、スリーラさんのレシピは、ふるさとのインド南部のケララ州で食べていたものに工夫を加えたものだ。
取材開始から約1時間半。ご飯が炊き上がり、カレーが仕上がった。カレーは、食欲をそそるいい香り。ここで完成かと思いきや、「ここからがビリヤニ作りの本番ですよ」とは、夫のプラシャーント・レジさん(39)。
出してきたのは寸胴の鍋。その鍋の内側全体にバターを塗り、ご飯とカレーをケーキのミルフィーユのように交互に入れて重ねていく。間に、ナッツやミントの葉などもふりかける。
仕上げは蒸す工程。鍋にふたをした後、水を加えてもちもちした状態にした小麦粉を、ふたの周りにぐるりと貼り付けた。鍋をしっかり密閉することで、熱や蒸気を逃がさないようにするという。
鍋を弱めの火にかけること約30分。小麦粉の生地をペリペリとむいてはがし、ふたを開けると、湯気とともにかぐわしさが部屋中に広がった。肉やタマネギ、さまざまなスパイスが絶妙に絡み合って、深みのある味わいだ。
ビリヤニは、インドでは結婚式で食べる料理の代表格。レジさんによると、インドの結婚式は、親戚や友人、近所の人たちなど500人から2000人が参列するのが普通で、11年前に行った2人の式にも、約1200人が参列した。さらに、式は3日間にわたって行われたという。
家族の行事を大切にするスリーラさんたち。来日してからもそれは変わらない。2人の長女のはなちゃん(4)の誕生日には、近くのコミュニティーセンターなどのホールを借りてパーティーを開催している。3歳の誕生日には、友人ら60人ほどを招待し、肉と野菜の2種のビリヤニを作って振る舞った。
インドの米「バスマティライス」(専門店などで手に入る)、骨つき鶏肉(米の約2倍の量)、タマネギ、トマト、ショウガ、ニンニク、ターメリックパウダー、チリパウダー、ガラムマサラ、ヨーグルト、トマト、塩、コショウ、バター、油、牛乳
〈作り方〉
①米を炊飯器で炊く
②肉にターメリックパウダーとチリパウダー、塩で下味をつける
③フライパンに油を入れ、細切りにした玉ねぎを炒める。色が変わったら、みじん切りにしたショウガ、ニンニクを各大さじ1加える
④ターメリックパウダー、チリパウダーを小さじ1、ガラムマサラ大さじ1、コショウで調味する
⑤トマト1個を角切りにしていれ、ヨーグルトを大さじ2入れる
⑥別のフライパンで肉を焼く
⑦❺に❻を入れる
⑧炊き上がったご飯を釜から出して、釜にバターを塗る。釜にご飯と❼を交互に入れる。ご飯を入れるときに、ナッツ、ミントの葉少々と牛乳でターメリックパウダーを溶いたものを大さじ2ふりかける
⑨もう一度炊飯して完成