城里町石塚の平賀石材店の駐車場の一角にある木製の棚は、有機野菜を育てる地元農家の高萩和彦さん(41)と香さん(37)夫婦の野菜を販売する無人スタンド「やさいの駅」。
有機野菜のおいしさを近所の人たちに知ってほしいという思いから、8月31日の野菜(831)の日に合わせて設置した。設置の目的はもう一つ、「究極の地産地消を広めるための、自分なりの社会実験でもあります」と、和彦さん。
スタンドは、高さ約2㍍、幅約1・2㍍。販売は週3回で、旬の5品種ほどと、古内茶など、地域の特産品も並べる。9月は枝豆やアスパラガスを販売。10月中旬からは、マコモダケを販売予定。「マコモは、栄養たっぷりで、調理法も豊富なんです」と和彦さん。
和彦さんは日立市出身。大手企業に5年間勤めた後、農家に転身し、3年ほど前から有機栽培に切り替えた。有機栽培は手間がかかるため、直売所での安売り競争には負けてしまう。ネット販売する方法もあるが、「地元にこだわりたくて」。
「自宅に無人販売所を作りたい」。そんな思いを持ち、仲間に話していると、近所の根本樹弥さんが、廃材などを使ってスタンドを手作りしてくれた。「高萩さん家に置くより、うちの方が目立つから」と、平賀石材店の平賀博子さんが、駐車場を無料で貸してくれた。
やさいの駅は、売れ行き状況や利用者の声などから、今後の展開方法を探るという。「まだスタートしたばかり。各地の農家が、資金をかけずに直接販売できる方法の一つになれば」と和彦さん。
スタンドの開設日は、火、木、土曜の午前10時~午後6時。