日立市大みか町の中華食堂「天海」の看板メニューは、並外れた大盛りの「スーラータンメン」(935円)。真っ赤なあんかけスープは、どんぶりからこぼれ出して、受け皿まで占めている。テレビの取材陣が訪れたこともあるなどで、広く知られている。誕生は9年前で、当時、新調したどんぶりが、それまでのものより小さかったのがきっかけ。
その後のなりゆきはこうだ。
それまでの盛り具合が体に染みついていた店主の原口真一さん(58)。どんなに注意して盛っても、あんかけスープをあふれさせてしまった。あわただしいランチタイムのことで、原口さんより先に、客の方が、あふれていることに気がついた。不思議なことに、不満をこぼす人と、笑って喜んでくれる人があった。
「そこでひらめいたんだ」と原口さん。中途半端をやめて、とことん盛れば、みんなが喜んでくれるのではと考えた。
その後は注文があるたびに量を増やしていった。
現在の総重量は約2・7kg。看板メニューに育ったのはいいが、余りの重さと人気のせいで、手首が腱鞘(けんしょう)炎になってしまっているという。