水戸市の清水優さん(73)は、漁港や運河など水辺の風景をライフワークとして描いて約50年。長年通う大洗や那珂湊、北茨城の漁港は、2011年3月11日の東日本大震災で大きな被害を受けた。「何もできないけれど、絵を描くことで少しでも応援になれば」と、大震災以降は、作品に復興祈願の思いも込めている。
山あいの大子町で生まれ、「水辺の広々とした風景に憧れがありました」。海と空の一面の青色の中にぽっかりと浮かぶ漁船の白色の美しさ。日の出とともに沖に向かう漁師たちの背中の大きさ。漁港で漁師たちを出迎える女性たちの笑顔。「何年見ていても、あきることのない魅力的な景色です」
大震災の後は、古くからの建物が流されてしまうなど、漁港の風景が一変した。でも、清水さんは、変わり果てた風景は描かず、その中でも変わらない景色を探して描いている。「当たり前の日常が、一日も早く戻るように応援したくて。これからも変わらない景色を描いていきます」