陶器、笑顔、青空の祭典へ 陶炎祭に出店する陶芸家(茨城・笠間市)
工房の棚に並んだ作品を見つめる佐川さん

 水戸市住吉町の陶芸家、佐川義乱(ぎらん)さん(31)宅の工房には、今月末からのゴールデンウイークには、まぶしい日差しのもとで多くの人たちを楽しませる陶芸作品が、ずらりと並んでいた。

 作品の“舞台”は、笠間市笠間の笠間芸術の森公園で4月29日から開かれる「陶炎祭(ひまつり)」(笠間焼協同組合主催)。同祭りは今回で42回目を数える本県最大の陶器市イベントだ。

 今年は、同市内外の陶芸家が、それぞれの作品を並べる露店、約250店が出店。過去2回は、コロナ禍を受けて中止された催しの「夜まつり&ライブ」「キッズランド」などが復活する。会期は、5月5日までだ。

 

 佐川さんの作品は、普段の暮らしの中で重宝するカップや皿などが中心。複数の釉薬(ゆうやく)をかけ合わせたりするなど、装飾にこだわりのある作品が多い。同祭りに向けた制作は、2月末に始まったという。

 

 佐川さんの同祭りへの出店は、今年で6回目だが、原体験は子ども時代にまでさかのぼる。

 佐川さんは、母親のさがわはるなさんも陶芸家という“陶芸家二世”。子ども時代、母親が同祭りに出店するときは必ずついていって、「母の手伝いよりは、公園にいたオタマジャクシを探している時間の方が長かったかな」と笑う。母親の陶芸家仲間や、客らとの交流も楽しくて、「(陶炎祭は)とっても明るくて、楽しくて、最高の場所というイメージ」だという。

 母親は今も現役で、近年は母親と合同の店を、同祭りに出店している。2人の店では、佐川さんの4歳と2歳の息子たちも笑顔を振りまくという。

 

 もちろん陶芸家として、真剣勝負の機会でもある。多くの“お得意さま”は、期待に胸をふくらませてやってくるし、遠方の陶器ファンとの出会いもある。同祭りをきっかけに、県外の個展に誘われるなどしたこともある。店を並べる他の作家たちの作品にも大きな刺激を受ける。

 今年の品ぞろえの中でのいちおしだというマグカップを手にすると表情が変わった。「使いやすさと、見た目の良さと、安心感にもこだわっている。下に向けて広がっていますよね。この安心感がコーヒーをおいしくする」

 陶炎祭に参加するには入場料500円が必要(高校生以下無料)。同組合☎0296・73・0058。

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