写真展「日立鉱山に生きた人々」 郷土博物館で 23日~(茨城・日立市)
写真「最後の入坑」。エレベーターで地下にある坑内に向かう場面

  日立市で、76年にわたって操業した鉱山「日立鉱山」の労働者たちを撮影した写真展「日立鉱山に生きた人々 写真家・中井川俊洋がとらえた『閉山』とその後、そして現在」が9月23日から、同市宮田町の市郷土博物館で開かれる。42年前の同鉱山の閉山時、記録写真を撮った同市出身の中井川俊洋さん(63)の約100点を展示する。

 内容は、最後の発破を行う瞬間や、閉山式で、万歳をしながらも大粒の涙を流す様子、坑内の休憩室で弁当をほおばる姿など。現場のありのままを撮影しようと、地下900mの構内での撮影でも、ストロボは使わず、その場の光のみで撮影したという。

 また、労働者たちの「その後」を追った写真も展示する。閉山後、地方の系列鉱山に単身赴任した人や、アフリカの鉱山に行った人もいた。職業訓練所に通った人もいた。42年が経った近影も展示する。

 日立鉱山は、日本四大銅山の一つに数えられ、工都日立の礎となった。中井川さんは、同鉱山の閉山時、日本大学芸術学部写真学科の4年生だった。「栄光ある鉱山の最後を見届けたい」と考えて、卒業制作のテーマとして閉山の記録写真を撮りたいと申し出た。

 取材当初は、「荒々しい鉱山の男たちへの恐れがあった」という。だが、ようやく声をかけると、心配は一転、家族のように迎え入れてくれた。撮影のために奔走してくれ、宴会や旅行にも誘われた。閉山後も取材を続けたのは、「鉱山に生きた男たちの人生を見届けなければ」との思いからだ。

 9月23日午後2時からは、中井川さんによる展示解説が行われる(申し込みは不要)。会場では、中井川さんの写真集「日立鉱山に生きた人々」(1800円)の販売も行う。

 会期は11月5日まで。入場無料。午前9時半~午後4時半(入館は同4時まで)。9月25日、10月30日は休館。同館☎0294・23・3231。

 

 

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