似顔絵で笑顔を贈る 元漫画家の介護支援専門員・坂本さん(茨城・鹿嶋)
「お年寄りの顔には、その人生が見えます」。似顔絵を描く坂本さん(右)

 鹿嶋市の社会福祉士で、介護支援専門員(ケアマネジャー)の坂本正夫さん(67)は、20代の頃、漫画雑誌に連載を持っていたという異色の経歴の持ち主。その腕を生かして、施設などのお年寄りの似顔絵を描くボランティアをしていて、喜ばれている。

 このほどは、行方市の共生型サービス事業所「サポートセンターいきいき」(センター長・箕輪光成さん)で開かれた敬老会の会場の一角に、「似顔絵コーナー」を設置。

 同センターは、介護と障害者福祉の両方のサービスを行っている。今回は、箕輪さんが、利用者を喜ばせようと、坂本さんを招いた。

 市内の嶋田信子さん(93)親子は、少し緊張した面持ち。坂本さんは、「ちょっと笑ってみてください」などと優しく声をかけながら、墨や絵の具を使って、色紙に2人の絵を15分ほどで仕上げた。2人は、「いい思い出になったね」とうれしそう。

 坂本さんは青森県出身。漫画家を目指して上京し、双葉社の漫画アクション大賞新人賞、集英社青年漫画大賞に入選。青年漫画誌「漫画アクション」などで、読み切り作品を発表、連載もした。

 30歳を過ぎたころ、スランプもあり、友人のすすめで鹿嶋市へ。結婚し、市内の社会福祉法人に就職。介護の資格取得のために通信制の大学でも学んだ。

 似顔絵を描き始めたのは、30年ほど前。勤務先の施設で、お年寄りの誕生日のプレゼントに、似顔絵を描いてはと提案したことがきっかけ。「写真よりも喜ぶかなと思って」と坂本さん。

 坂本さんの似顔絵を、葬儀の祭壇に飾ってくれた人もいた。漫画家として、似顔絵は少し下に見ていたところがあったが、「すてきな贈り物になる」と、考えを変えた。

 似顔絵ボランティアは、材料費などの実費で行う。問い合わせは、坂本さんの居宅介護支援事業所☎︎0299・69・1541へ。

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