ひたちなか市のギャラリーのざわで先月開かれた展示会。ギャラリーの外周にぐるりと展示したのは、パッチワークのようなカラフルな編み地。「えっ、編み物?」「雨に濡れても大丈夫なの?」などと、通りすがりの人たちの目も引いた。
先月行われたギャラリーでの展示。カラフルな編み地が目を引いた(展示は終了している)
「編み物の魅力が伝わったらうれしい」とは、製作した編み物集団「あみもんどころ」の河本珠美さん。
展示した編み地は、今年、同グループがひたちなか市と日立市で行ったストリートアート「ヤーンボミング」で展示したもの。ヤーンボミングは英語で、直訳すると「糸爆撃」となるが、実際は、明るく温かな取り組み。発祥は欧米とされ、道路や公園などの公共物を、彩り豊かな編み地でくるむもの。
ひたちなか市の展示では、昭和通りに点在する16基のフラワーポット(大型の植木鉢)などを編み地でくるんだ。膨大な数の編み地が必要だったため、同グループは、15㌢四方の手編みの編み地を全国から募った。約2500枚もが届き、メンバーが中心となって1枚1枚編みつないで仕上げた。
温もりと優しさにあふれるイメージの編み物は、「冬の手しごと」の代表格でもあるが、河本さんら「あみもんどころ」の活動は、それらを踏襲しつつも、はるかに大胆。
結成は2年前で、メンバーは5人。結成のきっかけは、手芸店で開かれた編み物教室で河本さんが講師をしたこと。「ずっと1人で編んでいたけれど、みんなで編んだらもっと楽しいなと気がついて」
最初のイベントは、水戸市の千波湖畔での「編み物ピクニック」。それぞれが編みたいものを持ち寄り、おしゃべりしながら編むというもので、河本さんがSNSで参加を呼びかけた。輪になっておやつを囲むと、あまりに楽しくて気づいたら夕方になっていた。
「編み物好きの仲間に出会うのは、なかなか難しい。うれしかった」とは、編み物歴20年でメンバーの本間由美子さん。「編み方もスピードも、人それぞれ。世界が広がった」と、同じく20年でメンバーの二ノ宮詔子さん。その後は、メンバーが顔を合わせるたび、新たな活動プランがどんどん生まれるようになったという。
ヤーンボミングの開催中は、展示風景を撮影し、SNSで発信すると、参加した全国各地の編み手たちから、「うちのこ(編み地)、いた!」と喜びの声が上がった。「これからも、みんなの編み物愛をつないでいけたら」と、3人。