身がみっしりの大洗の夏の幸 岩ガキ漁に励む小林さん
水揚げした岩ガキを船上で選別する小林さん

茨城再見聞

 大洗の海の夏の幸、岩ガキの漁が盛期を迎えている。岩ガキは、梅雨の雨水が、河川を経由して届ける栄養分で身をふくらませる。8月中旬までに収穫されたものが、最も身が大きく、味わい深いという。旬は8月下旬まで。

 素潜りで行う漁は、重労働ということもあって、担い手が少ない。近年は同町磯浜町の小林英樹さん(43)しか、海に入らない年もあるという。漁場は、大洗港沖にある堤防の壁面。

 「苦労はあるけど楽しい漁だよ」と小林さん。楽しみの1つは、魚との交流だ。漁の最中は、小林さんの周りを、イシダイ、フグ、アイナメ、タコなどが囲む。岩ガキをかき取るのと同時に、カニなど魚の好物がこぼれ出すためだ。「水の中では、とても人懐っこいよ」

 小林さんの妻、由佳さんが作る岩ガキのみそ汁は、小林家の夏の名物だという。「漁師ならではの料理で、一般家庭では再現しにくいけど」と小林さん。出荷できない小ぶりの岩ガキ20個分ほどを、一度に煮る。「だしのうま味が驚くほど。うまいよ」。岩ガキは、同町の海岸沿いの海産物店などで販売される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう