みこしを載せた木造船・御船(おふね)が町を練り歩く全国でも珍しい祭り、「常陸大津の御船祭」が5月2・3日、北茨城市大津町で開催される。同祭保存会主催。地元の佐波波地祗(さわわちぎ)神社の祭礼で約300年の歴史がある。開催は5年に一度。御船が練り歩くのは、県道27号塙大津港線だ。
御船は、全長約14m、幅約3m、重さ約7トン。練り歩く際は、みこしのほか、同神社の神職とおはやしのメンバーら総勢50人と機材も乗るため、さらに重くなる。
コースに「ソロバン」と呼ばれる木材が置かれ、その上を滑る形で進む。御船につながる綱を引く引き手と、御船が滑りやすくするために、御船の両脇で御船を揺らす人員もいる。交換要員を含めた数は、500人を数える。
御船が進むスピードは、順風満帆で進む船さながら。コース中にある直角のカーブがクライマックス。引き手らの集中力と勢いが高まり、見学者らは固唾(かたず)をのむ。神職とおはやしメンバーらは、大きく揺れるなかで役割に当たる。「大津の町が一つになる瞬間」と事務局長の樫村義弘さん(60)。
2・3日とも御船の「渡御」は午後1時から。2日はみこしは乗らない。同祭保存会070・3890・8600。