大子町小生瀬の渡辺章夫さん(63)の田んぼで、高さ2・5㍍を超えるわらぼっちが秋の日差しを浴びている。
わらぼっちは、稲わらを乾燥させるために、木の軸に積み重ねるようにくくり付けたもの。稲わらは乾燥した後、牛のエサに使われる。同町など本県の一部と、東北地方などに伝わる農作業だが、農業の近代化で見かけることは減った。
渡辺さん宅のわらぼっちは、町の要請で作ったもので、作り始めて5年ほどになる。町の狙いは、郷愁誘う風景を観光資源にしようというもの。晩秋には、わらぼっちの見られる場所を記したわらぼっちマップをネット上に公開する。
その上で渡辺さんは、「今では、自分が楽しくて作っているよ」と話す。両親と一緒にわらぼっちを作った子ども時代を思い出して心が和むし、わらぼっち目当ての人々との交流も楽しい。一番楽しみなのは、雪化粧したわらぼっちとの出合い。「普段は、何となくかわいらしいわらぼっちだが、りんとした美しさをまとい、見とれるほどだよ」
わらぼっちマップは、12月下旬に同町のホームページに公開予定。