行方市は、本県を代表するレンコンの産地の一つ。同市天掛で約60年続く生産農家、菅谷政枝さん(65)の定番のレンコン料理は、レンコン団子。食感が自慢のレンコンをすりおろしてしまうが、「ふんわり、もっちり。新食感ですよ」
作り方は、こうだ。レンコンは、皮のままボウルにすりおろす。ボウルに、レンコンの3分の1くらいの量の鶏ひき肉を加えて混ぜる。卵、小麦粉、片栗粉、ショウガとニンニクのすりおろしを加えて、塩、コショウで味つけをしてさらに混ぜる。揚げやすい固さになったら、2つのスプーンを使って丸めながら180度の油で揚げる。中に火が通り、表面がきつね色になったら出来上がり。青のりや刻みネギを混ぜてもいい。
作るようになったきっかけは、歯の弱かった実家の亡き父親に、おいしく育てたレンコンを食べてほしかったこと。料理本に出ていたレシピがヒントになった。レンコンをすりおろしたのは初めてだったが、夫や子どもたちにも好評で、定番メニューになった。
「レンコンのビタミンCは、熱に強いんですよ」。菅谷さんが育てたレンコンは、市内の直売所「やさいの声」で販売
同市がレンコン栽培に向くのは、北浦と霞ケ浦に挟まれた肥沃な土地と、温暖な気候から。
菅谷さんの畑での収穫のピークは12月で、作業は3月頃まで続く。寒い時期に、胸のあたりまで水に浸かってレンコンを掘り出す作業は体にこたえるが、「よく育ったレンコンを見るのは、うれしい瞬間でもあります」。
もう一つのおすすめ料理は、農作業で冷えた体を温めるのにぴったりというおろし汁。みそ汁やスープを作ったら、仕上げに、すりおろしたレンコンを加えて一煮立ちさせるだけ。汁にとろみが出て、体が温まる。「すりおろしたショウガを加えると、より温まります」
レンコンのおろし汁